その罪の重さを誰も知らない
国が滅びるとはどういうことなのか、と。少年は友に問いかけた。 太陽の子は答えた。世が乱れて人々は混乱するが、やがて元に戻る、と。 月の子は答えた。結果的に何も変わらない。為政者が変わるだけだ、と。 どちらも正解なのだろうが、過…
舞台二次創作デカダン
月のまわりで
「あ、」 薄暗い廊下で自分の顔を見るなり間抜けた声を上げた相手、ジェンバに、カヤルは表情を変えないまま不審げな視線だけを向けた。 そもそもこの男が王宮内に居座っていること自体が気に入らないのに、更にカヤルの神経を逆なでしてくるのはなぜなのか…
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王と神父
「さすが元近衛兵団長、チェスもお強い」「いやぁそれほどでも……ありますかな」 古い教会の一室。二人の男が膝を突き合わせてゲームに興じている。外は、王都は嵐のように荒れ狂っているが、そんなことはまるで嘘のように教会の中は静寂に包まれていた。 …
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町を出る日
「テイラー、話がある」 そう言って親友がテーブルに置いた、重そうな小袋からは金貨の擦れ合う音がした。「俺は王都に行く。お前はジェンバと彼女を連れて、隣国の村へ移ってくれ」「それは、あの子のためだな?」「言わなくたってわかるだろ」 そう言って…
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